栄養療法とは、疾患などにより低下した栄養素を補うことで、免疫力や身体機能を回復するために行う治療法です。主に、病気やケガで入院や手術をする患者の二次感染の予防や、病状の早期回復を目的として行われています。栄養療法が取り入れられている理由とされているのは、治療によって身体が受けるダメージを抑えるためといった点や、薬による治療の効果を高めるためといった点です。しかし、栄養療法は、こういったケース以外でも効果を発揮することが分かってきています。
精神的な疾患の治療を受けて適切な薬を飲んでも、何となく身体の不調が続くといった患者は数多くいます。特にうつ病などは、一旦薬による治療によって改善したはずでも、再発するといったケースが見られることも多いです。もちろん薬による治療も必要ですが、その病状の原因は食生活や栄養バランスの乱れにあることも多いとされており、実際に栄養状態の向上によって、うつ症状が改善したという事例も多く存在します。
そこで、精神疾患の治療法として取り入れられているのが、栄養療法の一つであるオーソモレキュラー療法という治療法です。オーソモレキュラー療法は、1960年代から、海外で広く取り入れられ始めました。薬による治療だけに頼らず、栄養バランスを整えることで身体機能を高め、精神疾患を含む病状の回復を目的としています。具体的には、カウンセリングを行いながら、食事による栄養管理や足りない栄養素をサプリメントなどで補うといった処置などです。この治療法は、体内の栄養素の乱れが多くの病気や不調の原因である、という考え方に基づいており、栄養性疾患が増加している現代において有効な治療法として積極的に取り入れられています。